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「臭うかもしれない症候群」の危うい連鎖

あなたのお宅に、消臭剤は何種類ありますか? 玄関用、トイレ用、ペット用といった場所別のラインナップから、焼き肉の後にシュッシュッ。雨の日の部屋干しの洗濯物にシュッシュッ。お父さんが一服した後にシュッシュッ。科学薬品に抵抗のある人でも、炭やハーブ・お香などを用いた演出は、女性には特に人気です。生活のあらゆる場面で、片っ端から身体や生活のニオイを消して歩くのが、お酒落なライフスタイルであるかのような風潮を感じます。

ひと昔前までは、臭いニオイを消す”マスキング”方法での消臭が主流でしたが、最近では無臭のままで消臭効果が得られるものに人気が集っています。こうした無香料・無臭が好まれる傾向は、化粧品やヘアスタイリング剤、防虫剤にまで至ります。それほど、現在の日本人はニオイや香りに敏感になっています。日本には、香りを楽しむ文化は古くからありましたが、最近は、楽しむよりも「排除する」傾向の方が強いのかもしれません。

考えてみてください。体臭は誰にでもあるものです。しかし、そのニオイが通常レベルであるにも関わらず、「自分は臭っているかもしれない」と過敏に反応してしまう人が増えています。『臭うかもしれない症候群』といわれる人たちです。本来、人間の喚覚は麻痺しやすく、ほとんど自分のニオイに気づかないもの。しかし『臭うかも症候群』に陥ってしまうと、ほとんど感じないはずの自分の体臭までもが必要以上に気になってしまうのです。「誰も何も言わないけれど、実は迷惑がられているのかも」という不安にかられ、制汗剤や消臭剤などを多用し、それがかえって嗅覚を麻痺させる場合もあります。こうなると明らかに「自己臭症」の前投階です。