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食生活の工夫でワキガ臭の軽減も

食べた物が、からだを作る。あたりまえのことではあるのですが、意外と見過ごされがちなのが現実です。ダイエットと称して、夕食をスナック菓子やアイスクリームで済ます若い女性や、昨今の不況の影響もあって、昼食メニューのローテーションが、カップ麺、牛丼、ファーストフードといったサラリーマンの話も耳にします。手軽さや目先のバラエティーと引き替えに、あまりにも栄養バランスを考えてない食生活が多いように思われます。偏った食生活は、メタポリックシンドロームを皮切りに、生活習慣病を招く大きな要因でもあるのは広く知られるところですが、ワキガや多汗症を助長している面も否定できません。

摂りすぎに注意すべき食品の筆頭に上がるのが”肉類”です。肉類には動物性脂肪、脂肪酸、中性脂肪などがたっぷり含まれています。これらの脂肪成分を多く摂ると、汗腺類が活発に刺激され、結果として汗やニオイを強くしがちです。次に注意したいのが”乳製品”。チーズやバター、生クリームなどを多用した、ケーキやデザート類も汗腺類を活性化します。さほど大食ではない女性でも「ケーキは別腹」というのはよくある話で、毎日デザートを食べていたのでは、ニオイの予防だけでなく、美容面でも好ましい結果は得られないでしょう。さらに注意したいのが揚げ物や香辛料を使ったスパイシーな料理です。

特にファーストフードやコンビニなどの出来合いのお惣菜は、抽の劣化を防ぐために、脂肪酸を多く含んだ油が使われているケースがまだ多いようです。また唐辛子をはじめとする発汗作用を促進する香辛料も、日常的に多用していると、ますます「ワキガ・多汗症」を助長します。最近は、マヨネーズやタバスコを携帯して何にでもかけて食べる若い人が増えているとか。味覚障害の原因にもなっているという報告がありますが、ワキガの悩みにも少なからず影響しているに違いありません。一方で、緑黄色野菜に含まれるビタミンAや、胚芽・ゴマに含まれるビタミンEなどは皮膚の新陳代謝を促進して、ワキガ臭のもとになる過酸化脂質の発生を抑えるとされているので、積極的に摂取したい食品と言えます。

日本人が欧米人に比べてワキガ体質の人が少なかったのも、先に述べた体臭が発生するメカニズムだけでなく、食生活の内容も大きく影響していたものと思われます。しかし、食生活の欧米化が急速に進む中、ワキガ体質の方も次第に増えてくる傾向にあることは想像に難くありません。食事は毎日の積み重ねです。週3回の揚げ物を2回にして副菜を多めに。デザートは週末に。回数を減らせないのなら脂肪分の少ない和風スイーツにするなど、できるところから少しずつ改善してみることをおすすめします。

毛深い人はワキガになりやすい?

毛深いことが必ずしもワキガの直接の原因とは言えませんが、ワキガになっている人に、体毛の濃い人が多いのは事実です。ワキガ臭のもとになるアポクリン汗腺や皮脂腺は、体毛の毛根部に開口していることはご説明しました。体毛の多い人は普通の人と比べて汗腺類が多く、それだけアポクリン汗の分泌量も多くなります。ワキガの人に汗っかきな人が多いのと同じようなメカニズムですね。また、体毛が濃いと汗腺類からの分泌物が皮膚表面に長く留まりやすいため、それだけ細菌が繁殖しやすく、結果、ワキガ臭に拍車をかけることになるのです。

男性の場合は、毛深い人ほど男性ホルモンの働きが活発だと考えられますから、アポクリン汗腺が性ホルモンの影響を強く受けることもあって、やはりワキガになりやすいと言えるでしょう。もちろん、全ての毛深い人がワキガになるわけではありませんが、その確率は普通の人に比べてかなり高いようです。体毛が濃い(多い)人の方がワキガになりやすいのであれば、女性より男性に多いのでは?とお考えの方もいると思います。その理由を考えてみましょう。まず考えられるのは、ニオイに対する感受性の違いでしょう。男性の場合は「気にはなるが、命に関わるわけでもないし、まあいいか」と、受診にいたらないケースが多いとは言えるでしょう。

男性が来院される場合は、外食産業に従事している方や営業職の方など、仕事上での影響を懸念する方が多いようです。ですが、その点を考慮しても、現実的に女性の方にワキガ臭が発生する人が多いのは、ワキガの主なる原因をつくるアポクリン汗腺にあります。女性は男性よりもアポクリン汗腺が多く分布しており、性ホルモンの影響で活発に働いているからです。また、一般的に女性の皮下脂肪のほうが厚いので、汗をかいたときによりニオイを発散させる要因となり得ます。さらに個人差はあるものの、女性にはスイーツ好きな方が多く、糖分や乳製品をよく摂るために、汗腺類の働きを活発にする傾向にあることも、ワキガ臭を助長しているようです。

ストレスが二オイを助長することも

長年の専業主婦だった女性が会社勤めを始めた途端、ワキガ臭が強くなりました。これは明らかに急激な環境の変化、職場での人間関係や仕事へのプレッシャーによるストレスが原因かと思われます。ひと度、「自分は臭っているのでは?」「周囲は不快に思っているのでは?」と気になると、それ自体も大きなストレスとなり、さらに発汗を促すことでますますワキガ臭を強くしている。そんな悪循環に陥ったようでした。

現代人は様々なストレスに栖されています。会社や学校、地域社会での人間関係はますます複雑になり、昨今の構造的な不況が追い打ちをかけ、今や老若男女を問わず、ストレスに無縁の人はいないと言っても過言ではないかもしれません。ストレス状態が続いていくと、やがてその影響が体調にあらわれることはよく知られています。胃の痛み(潰瘍)や食欲不振、あるいは過食、肌荒れや髪の傷みなどの美容面に影響することもあります。もちろん、ニオイとも密接な関係にあります。

私たちの体は強いストレスを感じると、体内のホルモンバランスを崩すことがあり、これが体臭に影響をもたらすことがあるのです。ワキガ臭の原因となるアポクリン汗腺は、特に性的興奮や緊張によって多くの汗を分泌することが分かっています。よって、ストレスで体内ホルモンのバランスが乱されると、結果的に発汗が促されて、ニオイが強くなることもあるのです。

また、ストレスはエクリン汗腺からの汗も促します。結婚式でのスピーチや大きな会議での発表など、いつもより汗をかく経験はみなさんおありだと思います。先述したように、大量の汗はエクリン汗であっても、こオイを助長する原因になり得ます。「ワキガ・多汗症」に対してだけではなく、ストレスは溜め込まず、上手に発散する方法を見つけることが大切です。

ワキガと多汗症って、セットになっているのですか? 「私は汗っかきだからワキガになったのでしょうか?」

大量に汗をかくからワキガになるのではありません。汗をかいても、それが体温調節を目的としたエクリン汗であれば、ワキガ臭は発生しません。ワキガ臭を発生するキーポイントになるのは、アポクリン汗です。皮膚についたアポクリン汗が常在菌と結びつき起こる腐敗臭がワキガの主な原因になるのです。しかし、大量のエクリン汗はアポクリン汗を広範囲に広げてしまいます。

アポクリン汗が皮膚の広範囲に付着すれば、それだけニオイの元も拡がり強くなりますから、汗をかきやすい人は、そうでない人よりも「ワキガ臭を発散させやすい」傾向はあると言えるでしょう。ワキガ体質の方でも汗をかいていない時はさほど臭わないのに、汗をかいた途端にワキガ臭を強く発生するという方も結構多いのです。多量の汗そのものはワキガの直接的な原因ではありませんが、ワキガ臭を助長するものではあることは間違いないようです。逆に、ワキガ体質だから多汗症になりやすいことはないのでご安心ください。

「ワキガ・多汗症」の悩みは、人には相談しにくいものです。それは親しい間柄、たとえ親子であっても同じことです。ニオイの悩みは、人知れず苦しんでしまうことが多いだけに、お子さんをお持ちの方は、特に注意をしてあげてください。老え方によっては、多感な思春期にワキガの可能性を疑って独り悩むよりも、小さなうちに目安がついていれば、早めのセルフケアを教えてあげることもできます。もちろん、子どもだからといって身体的負担はありませんので、必要であればいつでも治療できます。早めに判断がつくことは、むしろ安心材料だと思っていただきたいものです。

ワキガは高い確率で遺伝します

「ワキガは体質である」という観点からもご想像いただけると思いますが、御両親がワキガ体質をお持ちの場合はあなたに、またはあなたがそうある場合は、お子さんに遺伝することも考えておいていただきたいと思います。ワキガは優性遺伝なので、両親ともワキガ体質の場合は80%、両親のうちどちらか片親だけなら50%の確率で遺伝します。もちろん理論上の数字なので、両親ともワキガ体質でも子供に受け継がれない場合もありますし、逆に両親とも違うのに、子供にあらわれるということもあります。

これは「ワキガ・多汗症」の症状が、食生活やストレスなどの生活環境に大きく関係しているからでもあります。医学的には根拠は乏しいのですが、「ガン家系」などいう言葉があるのは、生物学的な遺伝要素以外に、家族であるがゆえに生活習慣も似通っている傾向があるからでしょう。また、ワキガの原因になるアポクリン汗腺は性ホルモンの影響を強く受けますから、幼少期ではまだ活動を始めません。ですから、ワキガ体質が遺伝していたとしても、実際にワキガ臭を発生するかどうかは、小学生から思春期ぐらいにならないと判断がしにくいようです。

「うちの子も?」と思ったら、耳アカをチェックしてみましょう。あなたが既にワキガ体質であることがわかっており、「もしかしたら、わが子にもワキガ体質が遺伝しているのでは?」とご心配でしたら、耳アカを調べてみてください。いつもじっとり湿っているような耳アカならば、ワキガ体質である可能性が高いと言えます。ワキガ臭の原因となるアポクリン汗腺は、外耳道にもあります。そして、耳の中にはエクリン汗腺がない上に、性ホルモンに影響されないので、低年齢でも判断することができるのです。